このお正月も休む暇はありませんでした。昨年の参院選では、北海道だけでなく南は沖縄まで全国のみなさんに応援していただきましたから、あいさつを欠かすわけにはいかないんです。年中走り回っていないと落ち着かないのは、子年生まれだからでしょうか。
ロシアとの間で日本は平和条約を結ぶ交渉をしています。安倍晋三首相は一昨年11月、ロシアのプーチン大統領と昭和31(1956)年の日ソ共同宣言を基礎として交渉を加速化させることで合意しました。日本では「ロシアは本当は交渉を進める気がない」といった意見がありますが、私はそうは見ていません。プーチン氏は全くぶれていないからです。
プーチン氏は1期目の大統領就任から間もない平成12(2000)年9月に来日しました。森喜朗首相(当時)が首脳会談を行っただけではなく、自民党総務局長を務めていた私も通訳だけを交えた面会をすることができました。
このとき、私は日ソ共同宣言の有効性を認めるようお願いしたんです。東西の冷戦が激化する中で、旧ソ連は「領土問題は存在しない」と態度を硬化させ、平和条約締結後に歯舞群島と色丹島を引き渡すとした共同宣言の有効性も否定していたからです。
プーチン氏はこう言いました。「私はまだ大統領に当選して半年だ。今回は記者会見で言及することしかできないが、次の首脳会談では文書にする」。実際、プーチン氏は首脳会談後の記者会見で共同宣言の有効性に触れ、翌13年3月のロシア・イルクーツクでの首脳会談では、共同宣言が「平和条約締結に関する交渉プロセスの出発点を設定した基本的な法的文書」と確認した声明を文書で発表しました。
そこからプーチン氏は全くぶれていない。だからこそ、安倍首相もプーチン氏と共同宣言を基礎とした交渉の加速化を約束したんです。
プーチン氏は昨年12月19日、海外メディアも含めた年末恒例の記者会見でこう述べました。「日本の指導者との信頼関係があり、ともに出口を提案している」。これまでにない初めての表現です。
いま、ロシア国民の9割以上は、北方領土の返還に反対です。世界一の資源大国であるロシアと、世界有数の応用技術を持つ日本が極東開発や医療面で連携すれば、お互いにメリットがある。平和条約締結に向け、ロシア国民の理解も進むでしょう。
来年10月に衆院議員は任期満了です。私は今年、安倍首相自身の手で、解散・総選挙があると考えています。ここで自民党が勝利すれば、党総裁連続4選の声も出てくるでしょう。国益の観点からもそのほうが望ましい。
任期は令和6(2024)年まで延び、この年まで大統領任期があるプーチン氏と交渉をまとめやすくなります。そのためにも、今年はぜひとも北方領土問題の解決に道筋をつけなければならない。今年できなければ、未来永劫(えいごう)(えいごう)できない。そういう思いで、今年も安倍首相に全力で協力してまいります。
今年は戦後75年です。この節目の年に、平和の祭典である東京五輪・パラリンピックが開かれる。何としても成功させなければいけませんね。
私見ですが、五輪についても一言。気になるのは、ロシアのドーピング問題で、世界反ドーピング機関(WADA)がロシアの選手団を東京五輪・パラリンピックなどの主要大会から4年間除外することを決めたことです。もちろん、違反した選手に永久追放などの厳しいペナルティーが科せられるのは当然ですが、まじめに頑張っている選手までロシアの代表と認めないのは、あまりに酷でしょう。
ナショナルフラッグ(国旗)を背負っているかどうかというのは、選手にとって非常に大きい。平和の祭典は、ロシアも参加できてこそ、成功といえるのではないでしょうか。(力武崇樹)
■鈴木宗男(すずき・むねお) 昭和23年生まれ。拓大卒。衆院議員秘書を経て、58年12月の衆院選で初当選。北海道・沖縄開発庁長官、内閣官房副長官などを歴任。平成22年に受託収賄罪などで実刑が確定し、1年間服役、29年4月まで公民権が停止していたが、昨年7月の参院選で日本維新の会から立候補し、国政に復帰した。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース